税務会計について語らせてください!vol.16「新年度スタート!今年の税制改正でどう変わる?4つの重要ポイント 」

こんにちは!
税務会計チームのスタッフ小向です。
法人・個人の税務会計、相続等の資産税を担当しています。

「令和8年度税制改正」は、物価高対策や人手不足解消を目的としており、皆様の「手取り」や「経費」、そして「給与計算の実務」に直結する大きな変更が多数盛り込まれています。
(※消費税・インボイス制度の最新事情については、次回のブログでたっぷり解説します!)

今回は、中小企業と個人事業主の皆様が絶対に知っておくべき「4つの重要ポイント」を、現行ルールとの比較を交えてわかりやすく解説します。

所得税の壁が178万円に!「年収の壁(基礎控除等)」の拡大

長年、パート・アルバイトの方の就業調整の原因となっていた「103万円の壁」。これが物価高への対応として、令和8年度から「178万円」へと、一気に75万円も引き上げられます。これにより、物価高の中でもパート・アルバイト層が手取りを確保しやすくなる仕組みが整いました。

中低所得層(合計所得金額489万円以下)の場合の、改正の内訳は以下の通りです。

項目 現行 改正後
(特例適用後)
増加額
基礎控除
(所得税)
48万円 104万円 ※1 +56万円
給与所得控除の
最低保障額
65万円 74万円 ※2 +9万円
課税最低額
(合計)
113万円 178万円 +65万円

(※1)基礎控除額62万円に、令和8・9年分の特例加算42万円を加えた額
(※2)最低保障額69万円に、令和8・9年分の特例加算5万円を加えた額

⚠️ 3つの注意点
非課税枠が178万円に増えるのは朗報ですが、「絶対に知っておくべき3つの注意点」があります。

① すべての人が178万円になるわけではない(所得制限)
178万円の非課税枠がフルで適用されるのは、合計所得金額が489万円以下の人に限られます。
489万円を超える場合は、基礎控除の加算額が段階的に縮小される仕組みになっているため、全員が一律で恩恵を受けられるわけではない点にご注意ください。

② 「社会保険の壁」は別物!手取りが減る可能性も
今回の改正はあくまで「所得税」に関するものです。
社会保険の扶養を外れる基準である「106万円・130万円の壁」は連動して引き上げられません。
そのため「税金はかからないけれど、社会保険料の負担が発生して逆に手取りが減ってしまった…」という事態は依然として起こり得ます。働き方の調整には引き続き注意が必要です。

③ 令和10年以降は仕組みが変わる予定
「178万円」という金額は、令和8年分・9年分の特例加算を含んだ期間限定の数字です。
令和10年分以降は、基礎控除の加算額が「42万円」から「37万円」に調整されるなど、制度の仕組みが一部変更される予定となっています。

ひとり親世帯への支援強化!「ひとり親控除」の段階的な拡充

基礎控除の大幅な引き上げと併せて、シングルマザーやシングルファザーを支援する「ひとり親控除」の段階的に制度が拡充されることになりました。

【第1段階:令和8年分から】子どもの「アルバイト収入枠」が拡大
まずは令和8年分の所得税から、控除を受けるための条件である「生計を一にする子どもの所得要件」が現行の58万円以下から「62万円以下(給与収入なら136万円以下)」へと引き上げられます。
これにより、子どもがアルバイトで少し多く稼いだとしても、親の税金が高くなりにくくなります。

【第2段階:令和9年分から】控除額そのものが引き上げ(手取りアップ)
続いて翌年の令和9年分の所得税からは、ひとり親控除の「控除額」そのものが現行の35万円から「38万円」へと引き上げられます。

個人事業主は要注意!「青色申告」が最大75万円に拡大、ただし紙申告は大幅「減税」へ

個人事業主の皆様にとって最大の節税メリットである「青色申告特別控除」
これまで最高65万円(e-Tax等)/55万円(紙申告)/10万円(簡易な記帳)の3段階でしたが、今回の税制改正で、デジタル化の度合いによって控除額が変わる「新・3階建て」の仕組みへと大きく見直されることになりました。(※令和9年分の所得税から適用予定)

① 最高額が「75万円」にアップ!(新設)
従来の65万円の要件(複式簿記+e-Tax等)に加え、訂正履歴が残るなどの要件を満たした「優良な電子帳簿」で記帳・保存している方は、控除額が75万円に引き上げられます。

② 紙申告の「55万円控除」は廃止(実質増税)
これまで複式簿記でも、印刷して紙で申告していれば55万円の控除が受けられましたが、これが廃止に。e-Tax(電子申告)を行わないと、一気に「10万円控除」へと大幅に引き下げられてしまいます。

③ 高収入の「10万円控除」はゼロに
簡易な記帳(10万円控除)を行っている方のうち、前々年の収入が1,000万円を超える方は、控除が「0円」となってしまいます。

パソコンや備品を買うなら要チェック!「少額減価償却資産の特例」

中小企業や個人事業主にとって、最も使い勝手の良い節税策である「少額減価償却資産の特例」。この上限額が引き上げられ、さらに使いやすくなりました。

【変更のポイント】
これまで「30万円未満」だった一括で経費(損金)にできる上限額(1年あたり300万円に達するまでの取得価格の合計額が限度額)が、「40万円未満」に引き上げられました。(※適用期限も延長されます)

通常、10万円以上のパソコンや備品は何年かに分けて経費(減価償却)にしますが、青色申告をしている中小企業・個人事業主であれば、この特例を使って「1つ40万円未満」のものなら、その年の経費として一括で落とせます。

昨今の物価高により、「ハイスペックなパソコンや業務用の機材を買うと30万円を超えてしまい、一括経費にできない」とお悩みだった方には大朗報です!

さいごに

毎年のように変わる税制改正。専門用語も多く、すべてをご自身で把握して実務に落とし込むのは非常に大変です。
税金や経理のことで少しでも迷ったときは、ぜひ専門家である「税理士」にご相談ください!

次回のブログでは、皆様から特に質問の多い「インボイス制度(消費税)」について詳しく解説します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
スタッフ小向でした。
次回もお楽しみに!