年末調整ってなあに?

年末調整は給与から差し引く源泉所得税を1年分まとめ、精算する作業です。
弊所のインターン生たちは年末調整が始まる前に動画で学び実際の業務を始めるのですが、作業が進むにつれさまざまな質問が出てきます。
年末調整に関する質問とそれに答えるスタッフとの対話形式で、「年末調整の素朴なギモン」をお届けします。

☆第1部「年末調整とは」

今年も年末調整の季節が来たね。

年末調整・・・。去年もやりましたね、たぶん・・・。
すみません、年末調整って何をするんでしたっけ?

年末調整は毎月の給料から引かれている所得税を1年分まとめて精算することだよ。
普通やったら毎月の給料からは少し多めに税金が引かれてるねん。

自分で計算しなくていいのは楽ですよね。

1つの会社でだけ給料をもらっている人は、給料の所得税を会社が計算して
納税者本人の代わりに税務署に払ってくれんねん。便利でしょ。
でも給料以外の収入があったり、2カ所以上で働いて給料をもらっている人は自分で計算して納税せなあかんよ。

今、副業している人増えてますもんね。
1社からの給料だけなら年末調整だけでいいってことですね。

会社で年末調整をしてもらう人は、「給与所得者の扶養控除等申告書※1」と「給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書※2」を会社に提出してる人たちで、生命保険や地震保険の支払がある人は「給与所得者の保険料控除申告書※3」と「控除証明書」を提出すれば、年末調整で生命保険や地震保険などの支払分を調整してもらうこともできます。

※1…以下「扶養控除申告書」
※2…以下「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」
※3…以下「保険料控除申告書」

そういえば私も11月末に所長に提出しました。
複数の会社で働いていたらどうなるんですか?
2カ所でアルバイトしている友達が多いんですが。

年末調整は「扶養控除申告書」を提出した1社でしかできないので、2カ所目からは「年末調整未済」と記載された源泉徴収票を発行してもらうねん。
Iさんの場合は、「扶養控除申告書」と「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」を事務所に提出しているので、事務所からの給与は年末調整されるけど、それ以外のアルバイト先からは「年調未済」と書かれた源泉徴収票をもらって確定申告すればいいよ。そうしたら1年分の所得税が精算できます。

年明けからCMとか始まるやつですね。
転職した場合も2カ所になるから確定申告しないといけないんですか?

転職した場合は前職の源泉徴収票を提出すれば、まとめて年末調整してもらえるよ。
提出しなかった場合は確定申告しないといけないけれどね。

まずは提出書類を忘れず出すことが大切ですね。

今年働いた会社からは源泉徴収票をもらうことも忘れずにね。

第1部のまとめ

・年末調整とは、所得税の精算の手続きのこと。
・年末調整できるのは1か所だけ。
・複数で給料をもらっている人は、確定申告をすれば合計した給料で精算ができる。

☆第2部「103万の壁とは」

親からアルバイトするなら103万円までにしてって言われたんですけど、どうしてですか?

103万円を超えちゃうと親御さんの扶養に入られへんねん。
Iさんはハタチでしょ?
特に19歳以上23歳未満だと63万円も親御さんの所得が増えてその分税金も増えるので、うっかり103万円を超えてしまったら怒られると思うよ…。

どれぐらい増えるんですか?

親御さんの所得にもよるけど、Iさんが扶養家族から外れると63万円お父さんの所得が増えるので、税率が5%だとしても3万1500円、10%だと6万3千円、20%だと12万6千円増えることになる。大きいよね。

うわ!それは怒られる…!

自分がどのくらい働いているか、常に意識しておいてね。
12月になってから調整するのは大変やで。

気を付けます!ところでKさん、「所得」って何ですか?
「収入」とか「売上」とは違うんですか?

「所得」は「収入」や「売上」から経費とか引くべきものを引いた残りのことを言うねん。
一般的に給料の「収入」は、社会保険料や税金を引かれる前の額になって、通勤費も入りません。
給料はあらかじめ「給与所得控除額」が決められて、概算経費として「収入」から差し引くことができます。

なるほど。サラリーマンの経費ってピンとこないですもんね。

でしょう。
そうそう、前回の話で出てきた「103万円問題」は収入と所得の話で説明できるよ。

教えてください。

「給与収入103万円」から引くことのできる「給与所得控除額」は「55万円」と決められています。103万円から55万円を引くと?

48万円です。

では、動画研修で「扶養親族の要件」というのが出てきたと思うんやけど、所得金額はいくら以下やった?

え?確か48万円以下・・・だったような。

そうそう。「給与収入103万円の人は、給与所得控除額55万円を引いて給与所得は48万円になるので扶養家族となることができます」ということです。

なるほど~。
でも、扶養親族の要件に「納税者と生計を一にしていること」っていうのもありますよね。
「生計を一」って具体的にどういうことですか

「生計を一」っていうのは、同じ財布で生活しているということ。
必ずしも同居というわけではなくて、Iさんの場合は大学に通うために下宿しているじゃない。
でもお父さんから仕送りしてもらってたり、学費を払ってもらってるし、あくまでも自宅はご両親のところでしょ。
だからお父さんと「生計を一にしている」状態になります。

なるほど。

ただし、老人ホームへの入居などは他の要件も具体的に確認しないといけないので、税務署や会計事務所に相談してね。

わかりました!友達にも教えてあげます!

Iさんにも源泉徴収票渡すから、ちゃんと保管するようにね~。

わかりました~。

第2部のまとめ

・アルバイトは収入が103万円を超えると、親の扶養から外れてしまう。
・扶養家族が減ることにより、親の所得は増えることになり、親の税額が増える。
・「生計を一」とは、同じ財布で生活をしていることをいう。同居でなくても可。